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自分に合った理想のキッチンスタイル、どう決める?

住まいを考える時、キッチンを重要視する方は多いと思います。
毎日使う。滞在時間も結構長い。使い勝手が快適さに大きく影響する。
そんな大切なキッチンを考える時、何を決め手にすればいいのでしょうか?いくつかの視点から考えていきます。

●キッチンレイアウトの基本パターン6つ

まずは、どんなレイアウトの種類があるのか。
基本タイプを、特徴や選ぶ場合の注意点などを見ながら整理しておきます。

I型キッチン

シンクとコンロ、調理スペースが横一直線に並んでいるキッチンです。
壁や窓に向けて配置したり、ダイニングに向けて対面式にすることもできます。
スペースが省略化できるもっともシンプルな型ですが、
あまり大きすぎると移動距離が長くて使いづらくなる事もあります。

L型キッチン

シンクとコンロ、調理スペースがL字型に並んでいるキッチンです。
I型同様、配置の仕方はいろいろ可能です。
I型より移動距離は短くなりますが、I型よりスペースが多く必要になるケースが多いです。
L字の角の部分がデッドスペースにならないよう工夫が必要です。

U型キッチン

シンクとコンロ、調理スペースがU字型に並んでいるキッチンです。
移動距離は短く済む上、作業スペースも多く取れるので作業効率はいいです。
スペースが多く必要になるので、あまりお目にかからないタイプですが
お料理が生活の中心にある方などには好まれます。

Ⅱ型キッチン

シンクとコンロが分かれて2列に並んでいるキッチンです。
それぞれに作業スペースが取れるので便利です。
こちらも移動距離が短く済むので作業効率はいいですが、
振り返って作業をするというのがしっくりこないという方もいます。

アイランド型キッチン

両脇に壁がない島型のキッチンです。
奥行きを深く取って対面側からも作業できる型が一般的です。
複数人で作業する事が多い場合は特に便利です。
片付けが苦手な方や匂いを気にされる方には敬遠されます。
Ⅱ型キッチンのシンク側をアイランド型にするケースも多いです。

ペニンシュラ型キッチン

アイランドキッチンの片側に壁がある半島型のキッチンです。
アイランド型ほど奥行きを取らない場合も多いです。
ダイニング側をカウンターとして、朝食やおやつを取るような型で使う例もよくあります。
対面式のキッチンの前面がフルオープンになっているイメージです。
アイランド型と同じく、片付けが苦手な方や匂いを気にされる方には敬遠されます。

●次に考えたい3つのタイプ

さらに、キッチンには大きく分けて3つのタイプがあります。
皆さんはどんなところを基準に選択されるのか、過去の私の経験から見ていきます。

独立タイプ

リビングやダイニングから独立しているタイプです。
作業しながらのコミュニケーションや配膳のしづらさなどはありますが、
作業に集中できる、生活感を出したくない、などの理由で選択する方もいます。

フルオープンタイプ

リビングやダイニングとの仕切りが一切なく完全に一体化しているタイプです。
複数人で作業したり、キッチンで作業しながらコミュニケーションが取りやすいですが、
片付けが苦手な方や匂いを気にされる方には向きません。
アイランド型やペニンシュラ型はこのタイプになります。
憧れを持たれる方が多い一方、敬遠される方も多いです。

セミオープンタイプ

一部分は壁で一部分はオープンな、独立型とオープン型の中間のタイプです。
コミュニケーションは取りたいけれど手元は隠したい方、
汚れやすいコンロ前の掃除のしやすさや、匂いを気にされる方、
キッチンにいながら子供の様子を見たい子育て世代の方が希望される事が多いです。

●どのくらい隠す?どう隠す?セミオープンタイプ3例

私の今までの設計経験からすると、セミオープン型のキッチンを選択される方が最も多いです。
フルオープンの必要はないけれど、リビングにいる子供の様子は見たい、掃除がしやすい方がいい、など
機能としてセミオープンタイプを求める方が多い印象です。

ただ、一口にセミオープンといっても、
どのくらい隠すのか、どうやって隠すのか、によって部屋の雰囲気は変わってきます。
そこで、ここではセミオープンタイプの事例を3つご紹介します。
同じ”I型セミオープン”の中でも様々なタイプがあることをイメージしてみてください。

おしゃれタイルでリンクする

壁に向かって配置したI型のキッチンとダイニング側に作業台のあるキッチンです。
配置としては独立型に近いタイプで、出入り口部分を大きく開けてセミオープン型にしています。
キッチン前の奥の壁と、作業台のダイニング側の手前の腰壁を、個性的なタイルで合わせて
インテリアのポイントにしています。

リビングのポイントウォールにする

対面式のI型キッチンを木(シナ合板)の壁で囲んでいます。
シンクの前が四角く空いていて、コンロ部分は右側の壁の部分に隠れています。
両サイドからキッチンへ出入りできる配置です。
キッチンを囲う壁をリビングのポイントウォールとしてインテリアに取り入れています。

最小限の開口にする

こちらも対面式のI型キッチンです。
大きなワンフロアの中央に濃紺のキューブを配置した構成の間取りになっているので
キューブ感を損なわないように少なめに角のみをオープンにしています。
キッチンからリビングダイニングは覗けるけれど、
リビングダイニングからはキッチン内があまり見えない程度の開口に抑えています。

●実はレイアウトよりも重要?条件別キッチンスタイル4例

ここでは同じI型レイアウトのキッチンの事例を4つご紹介します。
何を基準に考えるかによって、同じI型のキッチンでも使い勝手や雰囲気は変わってきます。

『丸見えは避けたい!』(独立型キッチン/紡ぎの家)

ダイニング側に出入り口のある独立タイプのI型キッチンです。
生活感のでるキッチンはあまり見せたくない、というご要望から独立型を選定しました。
多少は見えても構わないということで、配膳の作業性を考えて出入り口はダイニング側に、
独立キッチンにありがちな閉塞感を避けるため、右手側には中庭に面した大きな窓が付いています。
独立型でも開放感を持ちながら気持ちよく作業ができるキッチンです。

『スムーズな配膳が一番!』(ダイニング横並び型キッチン/須坂の家)

フルオープンのI型キッチンです。配置としてはアイランド型になりますが、
一般的なI型キッチンを腰壁で仕上げています。この左側にダイニングテーブルが並びます。
対面式だと動線が回り込むのが嫌!というご要望でダイニングとキッチンが1列になっています。
皆で作業するという目的ではないので、一般的な奥行きのI型キッチンをアイランド仕様にしたキッチンです。

『庭を見ながら家事をしたい!』(景色重視型対面キッチン/囲む家)

対面式セミオープンタイプのI型キッチンです。
対面式ですが、対面にあるのはダイニングテーブルではなくテラス越しに見える外の景色です。
忙しい日々の中で、気持ちよく家事をやりたい!というご要望からこのような配置にしました。
朝と夕方の陽の違い、季節ごと、違う景色を楽しみながら過ごして頂いているとのことです。

『子供の目線と高さを合わせたい!』(床下り型キッチン/読書する家)

コンロ前だけが壁になっているほぼフルオープンなセミオープンタイプのI型キッチンです。
キッチン前のカウンターからダイニングテーブルまでが掘りごたつ式で、キッチンを囲んでいます。
ダイニングやカウンターテーブルで遊ぶ子供達と話しをしながら作業をしたいというご要望で
座った目線と合わせるようにキッチンの床が数段下がっています。

●まとめ

このように、同じキッチンレイアウトでも、どう考えるかで使い勝手や印象は大きく異なります。
キッチンレイアウトやタイプ、配置を決める時はまず、
キッチンでどんな風に過ごしたいか重視する基準は何か、を決めてください。自ずと答えが見えてくるはずです。
そしてもう一つ、自分の動きをシュミレーションすることがとても重要です。
いつもどんな流れで動いてる?無駄な動きはなんだろう?どんな動作が面倒臭い?
キッチンは作業をする場所です。効率の良し悪しは、良いキッチンかそうでないかの大きな分かれ目です。
写真で見た憧れのあのキッチン!と単純に決めてしまうと、後で後悔することになり兼ねません。
重視する基準と自分の普段の動きを整理して、自分に合った理想のキッチンスタイルを手に入れましょう。

自分ではうまく整理できない…という方はお気軽にご相談ください。
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