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色々な事が見えてくる。
間取り図を上手に見るポイントとは?

間取り図を見るのが好き!という方、いますよね?私の周りにも結構います、そういう友人。
間取り図(平面図)は部屋を上から見た図面で、
マンション広告で目にしたり、不動産屋さんの窓に貼られているのを見かけたり、皆さんも馴染みがあると思います。
間取り図を見ながらあれこれ想像するのは楽しいもの。
でも、実際に住む事を想定した場合、
見落として欲しくない ”間取り図を見る時に気にしてほしいポイント” というのがあります。
これを気にしてみると、今まで見えていなかったものが見えてくるはずです。

●間取り図の中を歩いてみる

間取り図を見る時、何を見ていますか?
リビング広ーい!大きいバルコニー素敵!収納たくさん!そんな感じ?
眺めて楽しむ間取り図は、そんな風に見るのもいいですが、
実際に住む事を想定した場合は、もう一歩踏み込んでみてほしいのです。

動線を振り返る

普段の生活パターンを考えながら、まずは玄関から入ってみてください。
家に帰ってきて最初にする事は何?どの段階で部屋着に着替える?
食事を終えてから眠りにつくまではどんな流れ?

行ったり来たりが多すぎませんか?
面倒臭い余分な動きは入っていない?
動きのスムーズさは暮らしの快適さにつながります。
そんな風に、間取り図の中を歩きながら日々の動きを想像してみてください。

扉を開けてみる

その動きに併せて、扉も開けてみましょう。
あれ?こっちに開くの邪魔じゃない?なんて気づきもあるかもしれません。
引き戸(スライド式のドア)がいいのか、内側に開くのか向こう側に開くのか。
細かい事だけれど、毎日の積み重ねとなるとちょっとしたことがストレスに繋がります

細かい動きも振り返る

全体の動きがイメージできたら、キッチンや洗面室、ランドリーなど、細かい作業の動きもやってみましょう。
食事を作る時はこういう流れだから、冷蔵庫はこっち側に置けた方がいいな。
脱いだらどんどん放り込みたいから、洗濯機の位置はお風呂の近くが便利。などなど、
具体的に作業してみる事で、自分の生活スタイルにあった間取りかどうかを確認することができます。

●間取り図ではわからない窓のこと

間取り図だけではわからない重要なものとして ”窓” があります。
間取り図の中に書いてありますよね。窓のある場所や大きさ。でも、幅はわかっても高さはわかりません。
窓の高さや付いている位置で、使い勝手や部屋の印象は大きく変わってくるのですが、
間取り図だけではそれはわからないのです。

ここでは引き違い窓(左右にスライドする窓)を例にしていますが、窓には他にも色々な種類があります。
どんな風に開く窓なのか、棧はあるのかないのか、によっても使い勝手や印象が違います。
窓の高さや取り付け位置、窓の種類による特徴を理解しながら見てみると、より正しく空間をイメージする事ができます。

間取り図は同じでも

こんな間取り図を見た時、どんな部屋を想像しますか?
これからお見せする4つのイラストは、間取り図で見ると全く同じ、4つとも上の間取り図で表されるのです。
間取り図は同じなのに、窓の高さと取り付け位置によって変わる部屋の印象を比べてみてください。

掃き出し窓

窓が床まである窓です。主に、人が出入りするところに設けます。
窓面積が大きい分、開放感がある印象の部屋になります。

地窓

床面に接している窓です。掃き出し窓より高さの低い窓になります。
視線も気にならず、低い位置にあるので、落ち着いた印象の部屋になります。

腰窓

おおよそ腰の高さあたりからある窓です。
窓の上下に収納やデスクなどを設けたり、立った時や座った時の視線に合わせて高さを調整して設けたり、
色々な使い方のできる機能的な窓です。
家具とどう組み合わせるかで様々な印象の部屋になります。

高窓(ハイサイドライト)

高い位置に取り付けた窓です。
光を取り込みやすいので、明るい印象の部屋になります。
外からの視線は気になりませんし、下は壁なので、家具なども配置できます。
掃き出し窓のような外との一体感はありませんが、外への視線は抜けるので、空や緑を楽しめ、
大きさによっては、開放感も得られます。

●視界を意識する

視界は、数字(面積や畳数)に惑わされないためのキーポイントです。
例えば、同じ15畳のリビングルーム。
ソファに座った時に見えるのは、雑然とした棚なのか、外に広がる緑なのか。同じ間取りでも感じる広さは違います。
間取り図だけでは見落としがちだけれど、これを想像できるかできないかで間取り図の理解度が変わってきます。
また、
”リビングにいる時、キッチンが丸見えだとくつろげないな。”
”窓がたくさんあるのはいいけれど、色々なものが見えすぎて落ち着かないな。” など
そこで何をするのか、どんな風に過ごしたいのか、そんなことをイメージしながら
そこから見えるものを気にしてみると、更に色々な事が見えてきます。

イラストは、同じ大きさの部屋を同じ位置から見ています。視界による広さの感覚の違いがわかるでしょうか?

緑が見える

緑が見えるのはやっぱり気持ちの良いもの。
イラストのように部屋と外が一体になる大きな窓から緑を眺めれば、自然につつまれた心地良さがありますし、
もっと小さな窓で緑の一部分を絵画のように切り取れば、それもまた、素敵なインテリアになります。
窓の大きさを変えて視界を調整するだけで、好みのインテリアにも近づきます。

テラスへ続く

部屋と外とが一体化していると、部屋の大きさ以上に広さを感じます。
特に、部屋の床とテラスの床が同じ高さだと、部屋がそのままつながっているような広々とした感じが出てきます。

●こちらの記事も読んでみてください。●

視線が気になる

”リビングには大きな窓が必須でしょ。”と、せっかく大きな窓をつけても、
カーテンを閉めっぱなしにしてしまうのでは意味がありません。
”リビングの窓は南側に決まっている。”という考え方も注意が必要です。
せっかく南側に設けても、お隣さんの室外機を眺めて過ごすリビングは、あまり気持ちの良いものではありません。
周辺環境との兼ね合いが影響してきますので、ここはカーテンを開けられる窓なのか、その窓から何が見えるのか、
きちんと確認することが必要です。

雑然としたモノが見える

視界が広がる場合と比べると、やはり圧迫感は否めません。
ゴチャゴチャとモノが散らかった部屋であれば、実際の畳数より狭く感じる事もあるでしょう。
ただ、広がり感よりも籠った感じが欲しい、好きなモノに囲まれて過ごすのが心地よい、など、
求めるものによっては、こちらの方が有効な場合もあります。

間取り図だけでは見えない事があることを知って、自分の理想に合わせた視界を意識してみてください

●家具のレイアウトを入れてみる

〇〇畳、と言われてもピンとこない場合もあると思います。
今住んでいる部屋と同じ条件なら想像もしやすいですが、部屋の形が違ったり、
経験した事のない広さや狭さだと想像しづらいものです。

そんな時は、家具のレイアウトを入れてみるといいです。
部屋の大きさをイメージしやすくなると同時に、生活をよりリアルに想像できます。
”窓がたくさんある明るい部屋がいい!”と思ったはずが、窓だらけで家具の置き場がない…そんな失敗も防げます。

●色々測ってみる

間取り図を見ても、ここの幅狭すぎないかな?これはどのくらいの広さなんだろう?
と今ひとつ実感しきれないことがあると思います。
私がお勧めしているのは、普段の生活の中で色々測ってみること。
普段の動きの中で実際に体験している寸法がわかると、だんだん間取り図の寸法と実感とがリンクしてきて、
間取り図を見ただけでかなりリアルに想像できるようになってきます。ここまでくればかなりの上級者です。

写真に写っているのは”三角スケール(通称:サンスケ)”と言って、図面の寸法を測るものです。
図面に書いていない寸法が知りたい時は、図面の縮尺と同じ縮尺の目盛りで測ればすぐにわかります。
1.000円弱で買えますので興味ある方はひとつ持っていても楽しいと思います。

●まとめ

なんとなく見ている間取り図と、生活の細部まで想像しながら見る間取り図では、見えてくる事がこんなにも違います。
間取り図を見て、自分がそこでどう暮らしているかイメージできますか?ワクワクしながら間取り図の中を歩けますか?
それが”あなたらしい間取り”かどうかの判断基準になります。
出来上がってから、あれ?という事がないよう、色々なことを想像しながら、ぜひ間取り図の中を歩いてみてください。