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トレンド?それとも定番?要望の多い間取り5選!

”今の住まいのトレンドって何ですか?”と聞かれることがあります。

うーん。住まいに流行ってあるのかなぁ。
住まいって長年続くものだし、長く快適に暮らしてもらいたいと思うから、トレンドで考えた事ないなぁ。
と思うけれど、
最近こういう要望多いなぁ。と感じる事はあります。

ただ、それは以前にはなかった要望か?というと、そういう事では決してなく、
だから、トレンドというのとはちょっと違う気がしますが、
みなさんが要望としてあげる事が多いかな。と思うものを5つ選んで、メリット・デメリットと共にご紹介します。

①ファミリークロゼット

夫婦はウォークインクロゼットで、子供はそれぞれの個室に収納を。
というケースが以前は多かったけれど、
最近は、家族みんな一緒の”ファミリークロゼット”を希望する方が多い気がします。

ウォークインクロゼットとは:人が歩いて入れる収納部屋
ファミリークロゼットとは:人が歩いて入れる家族みんなの収納をまとめた収納部屋

ここでご紹介する2つの事例は、共にウォークスルークロゼットです。
ウォークスルークロゼットとは:通り抜けできる収納部屋

メリット・デメリット

メリット :衣類を一箇所に集約できるので洗濯動線(洗濯物をしまう)がスムーズ。
      個室に収納スペースを取らない分、個室をコンパクトにでき、他のスペースに割り当てがしやすい。  
      壁に付けるクロゼットのような収納扉が不要なので、見た目がスッキリするし、扉代が節約できる。
      衣類だけでなく、納戸と兼ねて他のモノも収納しやすく、管理がしやすい。
           
デメリット:着替えをするスペースが取れないと不便なこともある。
      その家族の生活動線によっては不向きなケースもある。
      (スペースの確保をデメリットと考える方もいるようですが、個室内やその他の収納を1か所に集約する
       というイメージなので、個人的には、スペース面でデメリットとは感じていません。)
     
動線とは:人が動く経路のこと。
 これがスムーズかそうでないかや、動線上にどんな仕掛けがあるかなど、快適な住まいづくりに大きく関わるもの。

家事室も兼ねたファミリークロゼット

家事室と母の趣味室も兼ねたファミリークロゼットです。
右手に見えるのが物干しテラス。
テラスに続く通路は、洗濯機置き場からキッチンまで、家事動線が繋がっています。
”趣味の時間も持ちつつ、家事廻りをぐるぐるしていたい。”というご要望からできました。

(5つのテラスの家)

動線上につくった通路を兼ねたファミリークロゼット

帰宅後、リビングやキッチンへ行ける裏動線上につくった細長い通路件ファミリークロゼットです。
家族ごとのスペース区分がわかりやすくされています。
正面が家事室、右手前がリビングに入る扉、右手奥がキッチンに入る扉です。

(須坂の家)

②ウォークスルーシューズクロゼット

以前はそんなに多くなかった気がしますが、ここ数年はかなりの頻度で要望されます。
・強く欲している人
・よく見かけるし、なんとなく便利そうだからという人
・全く興味のない人
にはっきり分かれます。

ウォークスルーシューズクロゼットとは:靴収納部屋からそのまま室内に上がれる動線と
                    収納内を通らず直接室内に上がれる動線の2つの動線を確保した靴収納部屋
                    これにより、来客用と家族用の入口が分かれた玄関になる

メリット・デメリット

メリット :玄関をスッキリ保てる。脱ぎっぱなしでも気にならない。
      上着をかけたり鞄を置いたりの帰宅動線がスムーズで、部屋にモノを持ち込まず散らかりづらい。
デメリット:それなりのスペースが必要。
      配置に気をつけないと動線がズムーズにいかず使いづらい。

帰宅動線が万全なウォークスルーシューズクロゼット

この家の動線は、
『玄関→ウォークスルーシューズクロゼット→手洗いホール&トイレ
 →ウォークスルーファミリークロゼット(荷物置いて着替える)→リビングor家事室orキッチン』
と、帰宅してからそれぞれの場所に抜けられるウォークスルー式です。
部屋に物を持ち込むこともなくなるので、散らかりづらい間取りかなと思います。

(須坂の家)

リノベーションで実現したウォークスルーシューズクロゼット

斜めのラインを使って、狭い空間を有効に使ったシューズクロゼットです。
使用頻度の高いものとそうでないものを分けて収納するイメージです。
扉は全面鏡張りにしていて、姿見として利用しています。
この家は、
『玄関→シューズクロゼット→コート掛けホール→ファミリークロゼット』
という動線の流れで、こちらのファミリークロゼットもウォークスルー式です。

(slantの家(マンションリノベーション))

③ランドリールーム

ここ数年は、単独の部屋として要望する方が増えた印象です。

ランドリールームとは:洗濯家事のための、一連の作業ができる部屋

メリット・デメリット

メリット :洗濯動線がスムーズ。ファミリークロゼットと近接するとより便利。
デメリット:専用で確保するにはそれだけスペースが余分に必要になる。

専用のランドリールームは必要か

ランドリールームを単独で確保するのはスペース的に厳しい場合が多くあります。
脱衣室と兼ねたり、縁側や廊下の一部と兼ねたり、ファミリークロゼットと兼ねたり、
様々な工夫をします。
もちろん、人それぞれですが、それで十分なケースが多い気がしています。

そして何と言っても重要視したい家事動線ですが、
家事動線には人それぞれ、少しずつ違う個性があります。
どの時間帯に洗濯する?どの動きを重視すればノンストレス?

家事動線がなんでも全て繋がっていれば一見便利そうですが、どうしても欲しい動線でしょうか?
どこかで見た憧れのランドリールーム(とそれに続く家事動線)を鵜呑みにするだけでなく、
本当に自分がそう動くのか、どれほどその動線が役立つのか、をきちんと見極めて、
ランドリールームも含めた家事動線をぜひ考えてみて欲しいと思います。
自分の動きに合っていなければ、理想と言われている動線も、無駄を作ることになりかねません。

脱衣室と兼ねたランドリールーム

専用の部屋として確保するのがスペース的に難しい時は、
脱衣室を少しだけ広めにとって兼ねれば、スペースが少なくて済みます。
下着やパジャマ、タオルの収納棚とアイロンがけやたたむ作業のためのデスクスペースを設けています。
このお宅は、
『朝洗濯→干す→タオル類は帰宅時に仕上がるようにタイマーで乾燥まで→帰宅後アイロン&収納→夜入浴』
という生活パターンなので、使用時間がかぶることなく、時間帯によって、ランドリールームや脱衣室の役割を果たします。

(囲む家)

④パントリー

これは、人によって要望が分かれます。特には不要、という方も結構います。
パントリーには、壁収納タイプと専用の収納部屋を設けるタイプがありますが、
ここでお話しするのは、部屋として設ける場合のパントリーです。
キッチンの近くに設ける事が多いですが、キッチンの横に設けるか後ろ側に設けるかでも
使い勝手は変わってきます。
冷蔵庫置き場まで設けたり、家事スペースを設けたり、備蓄品だけを置くこじんまりしたスペースだったり、
考え方によって色々なつくり方があります。

パントリーとは:食品や食器や調理器具などの収納スペース
       

メリット・デメリット

メリット :生活感が出ない。スッキリする。
デメリット:スペースが必要。コンパクト動線にしたい人には不向き。

背面にあるパントリー

パントリー内からキッチンを見たところ。
L型キッチンの後ろ側に設けたパントリーです。
冷蔵庫や炊飯器、トースターなどもパントリー内で使うようになっています。

(slantの家(マンションリノベーション))

ポイントウォールなパントリー

キッチンの後ろ側に設けたパントリー。
黒い壁の中がパントリーです。
板張りのキッチンと併せてダイニングのポイントウォールとなっています。

(slantの家(マンションリノベーション))

⑤リビングテラス

リビングに広がりを持ちたい。外とつながる気持ちの良いリビングにしたい。
と要望される方が多いです。

リビングテラスとは:リビングとひと続きなテラス

メリット・デメリット

メリット :リビングに広がりが出る。室内にいながら外の空気を感じることができる。
デメリット:近隣状況などの条件に影響される場合がある。
      素材によってはメンテナンスの手間がかかる。

リビングから飛び出すテラス

(5つのテラスの家)

同じリビングテラスでも、つくり方によってイメージは大きく変わります。
リビングテラスについては、⬇︎こちらの関連記事をご覧ください。

リビングより広いテラス

(大きなテラスの家)

リビングテラスについては、⬇︎こちらの関連記事をご覧ください。

●結局のところ

間取りに、トレンドなんてないんじゃないか、と私は思っています。
もしかしたらあるのかもしれないけれど、そんな事は参考程度に(逆に惑わされずに)
自分の暮らしと向き合って、自分にピッタリな間取りを見つけて欲しいと思います。

コロナ禍によって住まいに対する要望は変わってきましたか?と聞かれることがあります。

”玄関に手洗い” とか ”外出しなくても外で楽しめるテラス” とか "書斎" とか
今の暮らしに、よりマッチするな、と思う事もあるけれど、
結局『家での時間を快適に過ごす』というのが変わらぬテーマなワケなのだから、
やっている事、考えている事は、あんまり変わらない。というのが私の感想です。

●まとめ

こうやってみるとリビングテラス以外の要望は、すべて
家事のしやすさや、動線のスムーズさ、に関することでした。
また、その4つ
・ファミリークロゼット・ウォークスルーシューズクロゼット・ランドリールーム・パントリーは、
関係が近く、お互いが絡んでくることの多い要望です。
要望が多いということは、やはり便利だったりするものかなと思います。

けれど、結局住まいへの要望は人それぞれ。

いろいろな方の要望も参考にしながら、
自分に必要かどうか、自分の生活スタイルに合っているかどうかをしっかり考えて、
自分らしい住まいを手に入れて欲しいと思います。

[今回ご紹介した事例は全てSHU一級建築士事務所のHPで詳しくご覧いただけます。]