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内面だけじゃもったいない!外見だって気にしよう。家の出来栄えを左右する『窓』のこと。

みなさんが窓のことを考える時、多分、大抵は間取りを考える時なんじゃないかと思います。
間取り図を見ながら、”ここに大きな窓が欲しいなぁ” ”ここにも窓があるといいかも”といった感じ。

その時、その窓が部屋の雰囲気にどう関わってくるかイメージできていますか?
間取りのことに夢中になって、外から見た時のこと、置き去りになってはいませんか?

どの窓を、どこに、どんな風に使うか、によって部屋の雰囲気や外観の印象は大きく変わります。

光を取り込んだり、換気をしたり、するだけが窓ではありません。
部屋の居心地や外観にも大きく影響する『窓』のこと、大切に考えたいものです。



●いくつ知っている?窓の種類

まずは最初に、窓の基本的な種類をおさえておきます。
改めて整理してみて、多いなぁーと思いました。(まだ他にもいくつかあります。。)
どうやって選んだら良いのか迷いますよね。
普段私はどのように選択しているのか、も簡単に加えておきます。

引き違い窓

2枚以上の窓を横にスライドさせて開閉する窓。
私の場合:一番出動率の高い窓。やっぱりシンプルで使い勝手が良い気がします。

横すべり出し窓

窓の下側を押して外側に滑り出して開ける窓。
私の場合:風通しを確保する目的で使うことが多いです。開け放していても雨が吹き込みにくいのです。

縦すべり出し窓

窓のサイド側を押して滑り出して開ける窓。
私の場合:顔を外に出して覗きたい小さな窓が欲しい時に使います。
     規格寸法が、縦長のプロポーションなので、私の中ではあまり出番がありません。(好みの問題)

ルーバー窓(ジャロジー窓)

細長いガラスの板が並んだ窓。ガラス板の角度を変えて開け閉めを調整します。
私の場合:使ったことありません。
     デザイン的に使うと面白そう。と思うけれど、今のところ出番なしです。
    (ウチ(賃貸)の浴室はこの窓。全開口するので豪快に換気できる便利さを感じています。)

オーニング窓

複数の小窓がつながっている窓。角度を変えて開け閉めを調整します。
私の場合:使ったことありません。
     これもデザイン的に使うことが多いと思いますが、今のところ出番なしです。
    (でも実は、ウチ(賃貸)の階段室に付いています。滅多に開閉しません。)

上げ下げ窓

上下にスライドして開閉する窓。
私の場合:使ったことありません。
     特徴的な表情が出るので、これに似合う外観の時に使うといいかもです。可愛らしい印象もあります。

FIX窓(はめ殺し窓)

窓枠にガラスが固定されている開かない窓。いろいろな大きさや形があります。
私の場合:多くは使いませんが、手の届かない位置に採光のために設置する時や
     ピクチャーウィンドウとして使うことがあります。
     ※ピクチャーウィンドウとは:窓を額縁に見立てて外の景色切り取る窓。

●いくつ知っている?窓の呼び名

窓は、窓自体の種類の他に、その形状や取り付ける位置によって呼び方があります。
その名称と特徴を簡単に整理しておきます。
そして、その組み合わせ次第で、さまざまな空間の印象をつくり出します。
自分のイメージする空間にはどの窓をどう取り付けるのが一番良いのか、そんな風に窓選びをしてみて下さい。

掃き出し窓

床から、人の出入りができる高い位置まである窓のこと。
外部との一体感を兼ねて、テラスやバルコニーの出入り口に設けることが多いです。

腰窓

腰の高さあたりからある窓のこと。
窓の上下に収納やデスクを設けたり、座った時の視線に合わせて高さを調整して設けたりします。

地窓

床面に接している窓のこと。掃き出し窓より高さの低い窓になります。
外からの視線も気にならず、低い位置にあるので、落ち着いた雰囲気になります。

高窓(ハイサイドライト)

天井に近い高い位置にある窓のこと。
外からの視線を避けたり、外の、目に入れたくないものを避けて光を取り込むことが出来ます。
下は壁なので家具を置いたりすることもできます。

出窓

建物の壁より外に張り出した窓のこと。台形や三角形のものもあります。
 
室内側は、カウンターやベンチとして利用もでき、広がりも感じられます。

コーナー窓

建物の角に設ける窓のこと。
外と一体化しやすい窓です。

フルオープン窓

窓の幅いっぱいに開け放てる窓のこと。
折れ戸式と引き込み式があります。
折れ戸式は、ガラスの枚数が多くなり、閉じているときに桟(枠)が多くなります。
(その理由で、個人的にはあまり好みではなく、私は、使ったことはありません。)
引き込み式は、その窓を引き込めるだけの壁が必要になりますので、それが取れるかが問題です。
いずれにしても、
引き違いの掃き出し窓は、窓の半分しか開かないので、フルオープン窓の方が断然解放感を得る事ができます。

スリット窓

細長い窓のこと。
横長タイプと縦長タイプがあり、複数並べてデザイン的に取り付けるケースがよく見られます。

天窓(トップライト)

屋根に付けた窓のこと。
突き出し窓やFIX窓が一般的で、電動式開閉のものもあります。

●間取り図の理解には窓の理解が必須

同じ間取りでも、『窓の種類』『大きさ』『取り付ける位置』によって部屋の印象は随分変わりますが、
間取り図を見ただけでは、これらの事は分かりません。

・窓の種類:間取り図では、プロポーションやどんな枠が入っているかなど、見た目の印象がわかりません。
・窓の大きさ:間取り図では、窓の幅はわかっても高さがどのくらいあるのかがわかりません。
・取り付け位置:間取り図では、どの高さに窓がついているのかが分わかりません。

こんな風に、窓のこともしっかり把握して、間取り図をきちんと読み取ることが出来れば、
より正確にイメージすることが出来ますし、よりイメージを広げることが出来て、窓を活かすことが出来ます。

ぜひこちらの記事も併せてご覧ください。

『色々な事が見えてくる。間取り図を上手に見るポイントとは?』

●窓は多い方が良い?

明るい方が気持ち良いから、できるだけたくさん窓を付けておきたい。というのは、多くの方の深層にある気がします。
せっかく付けられる場所があるから。念のためここにも。なんとなくそんな風に考えてはいませんか?
そう思いつくままに窓を付けていると、

・窓だらけのごちゃごちゃした印象の部屋になったり
・視線が散らばって落ち着かない部屋になったり
・家具の置き場がなくなったり
・窓だらけのまとまりのない外観になったり
・予算だって嵩みます

良かれと思って付けた窓が、部屋や外観に悪影響を与えた上に予算まで余計にかかってしまった。。
そんなことになったら、残念すぎます!
そもそも、その場所に本当に窓が必要なのかどうか、考えてみて下さい。
何となくつけたい窓、あってもいいかも、な窓、は、いらない窓、の可能性が高いです。

●機能だけじゃない!
窓は、外観にもインテリアにも効く重要パーツ

光を入れる、とか、風を通す、とか、窓には機能としての大切な役割があります。
でもそれだけではありません。
素敵だなぁと思う部屋を見た時、かっこ良いなぁと思う外観を見た時、
窓の大きさや窓の位置を意識して見てみて下さい。窓によるものだ。と感じることも多いはずです。

ただ明るければ良い。というのでは、単調な空間になってしまいます。
やたらと窓を付けては、落ち着かない空間になってしまいます。暑すぎるかもしれません。
逆に、陰影のある光をつくるように窓を付ければ、奥行きを感じる空間になったり、
窓と壁のバランス次第で、洗練された印象の空間や外観になったりします。

窓の配置次第で、おしゃれなインテリアにも、おしゃれな外観にもなるのです。
機能として必要不可欠な窓ですが、それだけで考えていてはもったいない。

窓は、インテリアや外観の印象に大きく影響する重要なパーツです。
だからこそ、機能だけにとどまらず、よく考えて効果的に使いたいものなのです。

●窓に名前をつけてみる。その窓、何の窓?

では、どんな風に窓を考えてみると良いのか?
窓をインテリアや外観に効くパーツとして活かす時、窓の種類や配置を考える時、オススメな方法があります。
『〇〇の窓』と、その窓の役割を言ってみるのです。

例えば、、

リビングの一角に寝転がれるほどの大きな出窓を付けてみる。
ゴロゴロと本を読みながら休日を楽しむ居場所になる『日向ぼっこの窓』

例えば、、

家に帰る時、”ウチの灯り”が見えてホッとする『出迎える窓』
ちょっと先からも見えるように、2階のリビングにシンボリックな丸窓を付けてみても良いし、
玄関近くに格子付の窓を付けて、格子から漏れる灯りでアプローチを照らす。のも雰囲気が出るかもしれません。

例えば、、

密集地で外の景色に期待出来なければ、
『空を切り取る窓』として、リビングのくつろいで座る位置の対角に、天窓や高窓をつけるのも良いかも。

何のために付ける窓かをはっきりさせれば、本当に必要な窓かどうかがわかってきます。
何のために付ける窓かがはっきりすれば、どんな窓を、どんな位置に付けるのが一番良いのかがわかってきます。
そして、その窓がもたらす効果を最大限に活かせるように考えれば、自ずと魅力的な空間や外観になっていきます。

●空間の質を変える窓選び

例えば、、
リビングの一角にあるダイニング。

テーブルを囲んだ壁にコーナー窓を付ければ、
どこぞの隠れ家レストランみたいに緑に囲まれた落ち着いたダイニングの雰囲気に。

例えば、、
バステラスや坪庭を設けるゆとりのない、なんの変哲もない浴室。

湯船に浸かった時に、
空を眺められる、ちょっと大きめのトップライトを付ければ贅沢な癒しのバス空間に。

窓には、そんな役割があることを知ってイメージを膨らませて活用すると
空間や外観に効く窓選びが出来てきます。

窓選びは、その場所にどんな役割を持たせたいのか、どんな雰囲気で過ごす空間にしたいのか、で決まります。
どう光を取り入れたいのか、どう風を通したいのか、外の景色を楽しみたいのか、外と一体になりたいのか。
その目的によって、形や大きさ、位置が決まります。

●外観がカッコ良くないのは、窓のせい。

一見カッコ良さげだけどなんとなく惜しい感じがする。。という外観を見かけたら、
なんだかこの家とってもカッコ良い。。という外観を見かけたら、
窓の大きさや配置を見てみてください。窓の大切さ、重要度、わかって頂けるんじゃないかと思います。

窓だけのせいとは言えませんが、窓によるところはかなり大きいです。

設計者からもこんな悩みを聞いたことがあります。
『間取り設計には自信があるのだけど外観が今ひとつキマらなくて。。』

理由は多分、間取りを決めた後に外観を考えているから。
間取り優先で窓を決めていて、外観のことが後回しになっていることが原因だと思います。
外観を考える前に窓の位置が決まってしまっているのですから、
そこから、カッコ良い、バチッとキマった外観を整えていくには限界があります。
また、役割の曖昧な余分な窓がある場合も多いです。

●まとめ

間取りを考える時、窓がその空間に与える影響をしっかりイメージできていれば、
出来上がった時、ん?なんかイメージと違う。。ということにならずに済みます。
間取りを考える時、同時に、外からの見え方も考えていれば、
ようやく理想の間取りが決まった!の後に、あれ?外観があんまり。。なんて残念なことにならずに済みます。

そこに大きく関わってくるのが 『窓』 なのです。

窓選び、窓配置ひとつで、部屋の居心地、外観の見え方は、大きく変わります。
窓は、家の出来栄えを大きく左右するという事を認識して、
大切に、丁寧に、窓選び、窓配置を考えて、部屋の中も外観も素敵な住まいを手に入れましょう。