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照明ってどうしている?
インテリアに効く照明の使い方。

インテリアを構成する中でとても重要なものに”照明”があります。
器具のデザインもそうだけれど、どんな明るさなのか、どんな風に照らすのか、
照明の考え方一つでインテリアの印象は大きく変わります。
そんな大切な照明ですが、家具やカーテンなどに比べると、あまり気にしていない方が多いような気がします。
そこで今回は、照明にスポットを当てて5つの事例をご紹介します。

●インテリアに大切な色温度

事例を紹介する前に、
インテリアに関わる大切な事として外せない『色温度』について少しだけ。

照明の明かりの色って、オレンジっぽいものから白っぽいものまで、色々ありますよね。
その光の色合いを示す時に用いられるのが『色温度』で、『K(ケルビン)』という単位で表します。
この色温度というのがインテリアを作る時にとても大切で、色温度の違いでインテリアの雰囲気は随分と変わります。
因みに、
ろうそくの明かり:≒2000K。正午の太陽の明かり:≒6000K。私が設計でよく使う明かり:≒2800Kです。
写真は左から、『電球色→温白色→白色→昼白色→昼光色』と呼ばれ、こちらで表されることも多いです。
(写真の数値は目安で実際はもう少し幅があります。)
色温度は、
・料理を美味しく見せる。・勉強に集中する。・質の良い睡眠を導く。など、目的によって向き不向きもあります。
そんな機能の事も含め、インテリアを考える時に是非意識して見て欲しいのが、この『色温度』です。

●事例に見る照明の使い方

色温度もそうだけれど、
全く同じ間取りでも、照明計画の違いで部屋の印象はびっくりするほど変わります。
そんなせっかくの有効なアイテムである照明です。存分にインテリアに活かしていけるといいなと思っています。

天井全体が簡単間接照明に

畳のベッドルームの照明です。
明るさは必要ないので、夜の雰囲気を楽しむ照明計画にしました。
梁の上に、紙とガラス繊維で出来たボードを乗せただけです。
元々は、ふすまの芯材に使われていたもので、軽いものなので固定もしていません。
その上に取り付けた何の変哲も無いスポットライトで照らして、天井全体を間接照明にしました。
材料費も手間も器具代も抑えた簡単間接照明です。
”間接照明”と言うと、建築の段階から造り込まないと。と難しいイメージがあるかもしれませんが、
こんな風に簡単に作る事もできます。
決して広くない、何もないシンプルな部屋ですが、
天井全体を柔らかく照らしたこの照明のおかげで、殺風景さはなく、落ち着いた雰囲気の部屋ができました。
(大きなテラスの家)

配線ダクトをインテリアに

リノベーションの例です。
天井を高くする取るために、天井材を剥がして構造体の鉄骨が現れています。
そのため天井裏がなく、天井内で配線をしたり、ダウンライトを天井に埋め込んだりする事ができません。
そこで、配線ダクト(ライティングレール)というバー状の配線器具を使うのですが、
ここは折角なので、インテリアとして利用します。
大きな空間に木の板を十字に吊るし、その中に配線ダクトを仕込みました。
(木の板の中央にある細くて白いレールが配線ダクトです。)
大きな空間なので、必要な時に必要なところどこにでも照明をつける事ができて便利ですし、
白い天井に通る木のラインは、インテリアのポイントになっています。
(相模原市I邸)

ピンスポットライトで非日常感を

トイレ前の手洗いスペースです。こちらは住宅ではなく店舗(ダイニングバー)です。
窓の取れない暗い場所だったので、あえて暗さを生かす事にして、壁を黒く塗り、ピンスポットライトで雰囲気を演出しました。
手元は間接照明で、可愛らしい花型のモザイクタイルを柔らかく照らしています。
暗い空間、ピンスポットの一点の明かり、奥の柔らかい明かり、の組み合わせで、奥行き感と非日常感を作ってみました。
(彩時記)

空間を区切る明かり

マンションリノベーションの例です。
”間接照明をつけたい!”というご要望だったので、一番目立つこの場所につける事にしました。
奥がリビングで手前がダイニングです。一続きになったリビングダイニングですが、
違った雰囲気を楽しむため、仕上げ材を変え、床を一段上げ、天井を少し下げ、空間の質を変えました。
L字型に繋がるダイニングとリビングですが、その境の、天井と床を間接照明で照らしています。
リビングスペースとダイニングスペースの広さのバランスと、玄関から入った時のこの明かりの見え方を考えて、
境界は斜めのラインになっています。
玄関から入った時に、正面のガラスのドア越しに、この照明のラインが浮かびます。
(世田谷区N邸)

迎え入れる壁照明

こちらも、マンションリノベーションの例です。
海外旅行で家具を買うのが趣味だという建主さんに、一番のお気に入りを選んで頂き、
そのチェストとスタンドランプで出迎える玄関ホールを作りました。
玄関を開けた時に見えるこの家具たちが主役になるように、壁や照明を設えています。
ゆるいカーブのR壁とそれを柔らかく照らすリズミカルな照明が、訪れる人を優しく迎え入れてくれます。
(大田区T邸)

●まとめ

印象的なペンダントライトやお気に入りのスタンドライトをインテリアのポイントにするのも素敵だけれど、
気に入る物が見つからなかったり、結構高価だったり、物は置かずにすっきりした空間にしたい時などは、
照明器具は見せないで明かりをインテリアにするのも素敵だと思います。
空間に奥行きが出たり、印象的になったり、昼間とは全く違う雰囲気になったり、明かりは色々な表情が作れます。
こんな風にインテリアと深く関わる照明計画、ぜひインテリアに活かしてみて下さい。

[今回ご紹介した写真は全てSHU一級建築士事務所のHPで詳しくご覧いただけます。]